スポンサーサイト

0

    一定期間更新がないため広告を表示しています

    • 2022.12.11 Sunday
    • -
    • -
    • -
    • -
    • -
    • by スポンサードリンク

    ドイツでの再生可能エネルギー地域事業視察報告(その4)

    0
       10月27日は、バイエルン州アルゴイ地域でエネルギー供給事業を行っているアルゴイ公社を訪問します。

       スピーカーは、アルゴイ公社100%子会社のイーグリッド社代表のベルナード・リントゥ氏。

      20161126_001.jpg


       アルゴイ公社は、シュタッドヴェルケ(都市公社)の一つです。

       再生可能エネルギーを中心に、地域にエネルギー供給を行い、雇用を生み出しています。現在、従業員は30人、売上300億円にのぼるそうです。

       また特筆すべきは、「IRENE」、「IREN2」と呼ばれる国家的プロジェクトを実施していることです。

      20161126_002.jpg

      「IREN2」と書かれた蓄電池


       これらはスマートグリッドの実証実験で、分散型の再生可能エネルギーが増えてくると発生する「逆潮流」についての検証などを行っています。

       具体的には、主に太陽光発電から生じる余剰分の電気を400kWのリチウムイオン電池に貯めたり、EV(電気自動車)に接続するなどです。

       IRENE2においては、特定の独立のエリアでのグリッドを研究しています。マイクログリッドのオペレーション、および需給のバランスを研究しているそうです。

       ドイツは北部に風力発電所が多くあり、南部に工業地帯の電力消費地があります。これら南北を結ぶ「電力アウトバーン」構想が計画されたのですが、住民の反対運動などもあり進んでいないのが現状です。

       日本でも特別高圧→高圧→低圧という送電網が基本的な仕組みなのですが、こうした既存の送配電システムから、「マイクログリッドの結合」というシステムへの転換を考えているとのことです。

       午後は、バイエルン州バイエルン・シュヴァーヘン地方の有名観光地・ノイシュヴァンシュタイン城に来ました。

       この城は、バイエルン王ルートヴィヒ2世によって19世紀に建築されました。要塞でも宮殿でもなく、ルートヴィヒ2世の中世回顧趣味のためだけに建設されたものだそうです。

      20161126_003.jpg


       中身の装飾も素晴らしいですが、とにかく外観が圧巻です。ルパン三世のカリオストロの城を思い起こします。(例えが幼稚ですね。)

      20161126_004.jpg

      バスから見える南ドイツの田園風景


       景勝地に限らず、南ドイツの風景はとても美しいのですが、とにかく感じるのは、山林に手が行き届いていることです。日本のような耕作放棄地、手入れのされていない人工林などは目につきませんでした。(続く)

      ドイツでの再生可能エネルギー地域事業視察報告(その3)

      0
         10月26日は、バイエルン州のヴィルトポルトリート村の取り組みについて視察します。プレゼンは、アルノ・ゼンゲルレ村長自らが行ってくださいました。

        20161125_001.jpg

        ヴィルトポルトリート村のアルノ・ゼンゲルレ村長


         ヴィルトポルトリート村は人口2500人の農村で、もともとは酪農が主産業でした。ドイツも日本と変わらず農業・酪農は厳しいそうです。とくにウクライナ問題でロシアへの経済制裁が発動されてからは、ロシアにミルクを売ることができなくなり、大打撃を受けたようです。

         今は再生可能エネルギーがメインとなり、屋根上太陽光発電、バイオガス、市民風力発電等を行っています。

         村長は「古いものと新しいものの共存が必要」と言います。ドイツの古き良き伝統と最新の再生可能エネルギー技術の共存が村を救う、と。

         ヴィルトポルトリート村では、1998年に「2020年に自分たちはどうあるべきか」という全村民を巻き込んだ議論を行なったそうです。村民へアンケートを実施し、目標の形をつくり上げていきました。

         市民自らが投資(当時60億円集めたそうです)をし、金融機関からの融資も含めて再エネ事業を開始し、2012年に実質100%再エネを実現させました。

         村長が強調していたのが、「エコロジーだけでなく、エコノミーも」ということ。事業として利益を出すことが大切だということです。

         もう一つは「市民参加とオーナーシップ」です。市民が傍観者になるのではなく、自ら出資者となって事業に参加することの重要性です。ただし、村長は「専門家でない人間が意見をすると失敗する。技術について多数決で決めてはいけない」と釘をさしていました。

        20161125_002.jpg

        バイオガス・プラントの貯蔵槽。手前に見えるのがエネルギー作物


         まずは、バイオガス発電(コジェネ)熱供給システムを見学します。見学会には、日本からだけでなく、トルコからの視察者も同行します。7ヶ所の発電所(コジェネ)があり、発電だけで1.7メガワットの容量になります。理論上は村全体の電気と熱を作っている計算です。冬場などの熱が足りない場合、木質ペレット・ボイラーを炊きます。

         このあたりは昨日見学したマウエンハイム、メギンゲンと同じシステムです。

        20161125_004.jpg

        市民が出資して建てた風車


         次は市民風力発電所に行きます。風力発電の売上は、年間6億円にのぼります。市民が出資し、金融機関から融資も受けています。投資家へのリターンは年平均で8%にものぼります。金融機関からの融資を12年で返済し終わると、リターンは15%になるそうです。

        20161125_003.jpg

        村長の説明に聞き入るトルコからの視察者


         その他、公共機関の建物の屋根には基本的にすべて太陽光発電所があり、売電収入を建物の維持管理などに使用しているそうです。

        20161125_005.jpg

        村営の体育館


         また、最近ドイツで問題となっているシリア難民問題ですが、バイエルン州から3億円の助成金を得て、難民のための「社会的住居」を建設する予定で、そこにも熱供給を行うそうです。(続く)

        ドイツでの再生可能エネルギー地域事業視察報告(その2)

        0
           10月25日午後は、ラドルフツェル市の「シュタッドヴェルケ・ラドルフツェル」を視察します。

          20161124_001.jpg


           シュタッドヴェルケ(stadtwerke)というのは、日本語に訳すと「都市公社」となりますが、ドイツでポピュラーな住民サービス事業体です。電気やガス、熱などのエネルギーだけでなく、水道、ゴミ収集、インターネットプロバイダー事業なども合わせて行っていることもあるようです。

           シュタッドヴェルケは行政の単位の市が100%出資するケースが多いようですが、シュタッドヴェルケ・ラドルフツェルはラドルフツェル市が51%、株式会社テューガという民間会社が49%出資しています。

           このテューガという会社は、ドイツ全国のシュタッドベルケをサポートする企業で、100以上のシュタッドヴェルケに資本参加しているそうです。

           ドイツでは1998年に電力の全面自由化を行なったのですが、これまで地域独占的な仕事をしてきたシュタッドヴェルケにとっては、市場の荒波にさらされることになりました。そこで、シュタッドヴェルケを支援するためにテューガのような支援企業ができたというわけです。

          20161124_002.jpg

          説明してくれるのはダニエル・メイヤーさん


           たとえば、物資の一括大量購入によって仕入れ費用を抑えたり、経営ノウハウの共有化・標準化を行ったりなどです。とくに、電力取引所から電気の調達(インバランスの調達)を行うときに、個別のシュタッドヴェルケがそれぞれ行うよりもテューガがまとめて発注したほうが良いのだそうです。

           ちなみに、シュタッドヴェルケ職員は「準公務員」でも「みなし公務員」でもない、純然たる民間企業従業員です。

           座学の後は、メギンゲンでのバイオガス・プロジェクトを見学します。ここも午前中見学したマウエンハイム村の仕組みと同じく「バイオガス・コジェネ+木質バイオマス・ボイラー」です。マウエンハイム村のものより、少し規模が大きいです。

          20161124_003.jpg

          メギンゲンのバイオガス・プラント


           痛感するのは、熱の重要性です。よく「エネルギーの地産地消」という言い方があります。しかし、電気は遠くまで運ぶことができる上に、電気の生産地と消費地は必ずしも特性が一致しません。

           その点、熱は基本的に遠くまで運べないので、必然的に地産地消となるのです。(熱の貯蔵及び運搬技術については、また後日報告します。)

          20161124_004.jpg

          貯湯槽のモニター。温かいお湯が配られ、冷めたお湯が戻ってくる


           ラドルフツェル市はボーデン湖のほとりにあり、環境基準がとても厳しいです。たとえば、木質バイオマス・ボイラーの燃料のチップを乾燥させるのにも、匂いの発生などにも基準があります。木質チップの含水率を下げるのは大変重要なポイントなのですが、そんなにお気軽にはできないようです。

           また、ボイラーで燃やした後にできる灰には重金属が含まれているので、鉱山跡に埋める処理をするそうです。このあたりは非常に徹底しています。(続く)

          ドイツでの再生可能エネルギー地域事業視察報告(その1)

          0
             NPOえねちばの森田一成は、10月24日から30日、ドイツでの再生可能エネルギー地域事業の視察に行ってきました。その報告を連続で行います。

             視察初日(10月25日)は、ジンゲンという町の地域エネルギー会社「ソーラーコンプレックス社」とラドルフツェル市の「シュタッドヴェルケ・ラドルフツェル」を視察します。(聞き慣れないシュタッドヴェルケという言葉ですが、また後で説明します。)

             まずはソーラーコンプレックス社から。同社は2000年、市民20人の出資で設立された民間エネルギー会社です。自らを「市民企業」と称し、太陽光発電、太陽熱利用、風力発電、木質バイオマス、バイオガス地域熱供給事業等を行っています。

            20161122_001.jpg

            ソーラーコンプレックス社の入り口に掲げられているバナー


             市民企業といっても従業員は約40人、株主は約1,000名、2013年総資産額で約5,000ユーロ(約58億5,000万円)、同年発電量で約3,000万kWhにのぼります。

             会社が入っているオフィスビルがパッシブハウスになっていて、徹底した断熱壁、、三重ガラス、熱交換器付換気システム等が完備されています。電気は屋上にある太陽光発電の自家消費(余剰は売電)です。

            20161122_002.jpg

            各部屋にある換気システム。ちょうどよい暖かさに包まれる


             説明してくれた方はユッタ・ガウクラーさん。女性の方です。(通訳は日本再生可能エネルギー総合研究所代表の北村和也さん)



             座学の後は、実際にバイオガスプラント見学に、マウエンハイムという村に行きます。

            20161122_003.jpg

            マウエンハイム村


             のどかな農村です。牛舎の牛が出迎えてくれました。

            20161122_004.jpg


             家畜の糞尿、農業残渣、エネルギー作物を混ぜたものを貯蔵槽・発酵槽に投入し、ガスを発酵させます。そこからメタンを取り出しジェネレーターで発電させます。その電気は固定買取制度(ドイツではEEGと呼びます)を利用して売電し、発生した熱を温水にして各家庭の暖房・給湯用に供給します。

            20161122_005.jpg

            バイオガスプラント


            20161122_006.jpg

            発電タービン


             冬場はバイオガスだけだと熱の供給量が足りなくなるので、木質バイオマスで炊き増しをします。逆に夏は熱の需要がなくなるので、余分な熱で木質チップを乾燥させるそうです。

            20161122_007.jpg

            木質バイオマスボイラー


             数字の上では、この村の電気と熱100%を供給する能力があるそうです。電気と熱の両方を活用するコジェネレーションシステムが、理想的な形で実現されていると思います。(続く)

            自然エネルギー白書をひもとく会2016を開催します

            0
              20161102_001.jpg


               特定非営利活動法人自然エネルギー千葉の会は、今年も「自然エネルギー白書をひもとく会」を開催します。開催日は11月26日(度)です。

               『自然エネルギー白書』は、認定NPO法人 環境エネルギー政策研究所(ISEP)が毎年発行している、自然エネルギーに関する集大成の書物です。2016年サマリー版がこちらから無料で手に入れることができます。
              → http://www.isep.or.jp/jsr2016

               2012年から始まったこの「自然エネルギー白書をひもとく会」も今年6回目を迎えます。この間、固定価格買取制度が始まり、太陽光発電をはじめ再生可能エネルギー導入が飛躍的に伸びましたが、一方で課題も見え始めています。

               講師は、同書の編集責任者で当会顧問の松原弘直さんです。また今年は、10月24日〜31日ドイツで再生可能エネルギー地域事業の視察に参加した森田一成・当会代表理事の報告も行います。

              20161102_002.jpg

              ヴィルトポルトリート村のバイオガス・プラント


               参加は資料代として500円を頂戴しますが、トレジャーリバーブックカフェのソフトドリンクを注文できます。

               皆さまのご参加を心からお待ちしています!(森田)

              === 自然エネルギー白書をひもとく会2016 ====

              【日時】
              11月26日(度)14:00〜17:00

              【会場】
              トレジャーリバーブックカフェ
                 千葉市中央区登戸1-11-18
                 http://treasureriverbook.web.fc2.com/

              【講師】
              松原弘直さん(環境エネルギー政策研究所・主席研究員、自然エネルギー千葉の会顧問)
              森田一成(自然エネルギー千葉の会代表理事)

              【参加費】
              500円(ソフトドリンク付)
              予約制/先着20名様

              【主催】
              特定非営利活動法人 自然エネルギー千葉の会

              【問合せ/お申込み】
              FAX.043(275)7825
              Email. renewable.energy.chiba@gmail.com
              Web. http://www.npo-enechiba.org/

              1

              PR

              selected entries

              categories

              archives

              recent comment

              • 今年も「エネルギーカフェ:自然エネルギー白書をひもとく会」を開催します!
                さいとうきよし
              • 自然エネルギー白書をひもとく会2018を開きます!
                So Seki-Rin
              • ヘルマン・シェーア氏のメッセージ動画
                ECOXIA International
              • 「ウグイスの声を聴きながら…、未来について大いに語る会」を開きました
                石井一行
                      

              profile

              書いた記事数:152 最後に更新した日:2022/12/11

              search this site.

              others

              mobile

              qrcode