8月10日、エネルギー・カフェ2014「地球温暖化? 異常気象? 地球とエネルギーに関するエトセトラ」が開催されました。会場は千葉市にあるカフェ、トレジャーリバーブックカフェです。(主催はNPOえねちば。)
問題提起者(メイン・スピーカー)は、国立環境研究所地球環境研究センター気候変動リスク評価研究室長の江守正多さんです。
江守正多さん
江守さんはプロジェクターを使って、わかりやすい図解をもとに地球温暖化気候変動のメカニズムについて説明してくれました。
(ちなみに、プロジェクターを写すスクリーンは竹と布を使って自作し、電源は太陽光発電で充電したバッテリーを使用しました。エネルギー・カフェ初回からのこだわりです。)
江守さんは、「温室効果ガス濃度と世界平均気温・海面水位は20世紀に急激に上昇している。20世紀半ば以降の世界平均気温上昇の半分以上は、人為起源の要因による可能性が極めて高い」と指摘します。「可能性が極めて高い」というのは、確度95%以上という意味です。
また、2010年に合意された気候変動枠組条約(COP16)カンクン合意では、「産業化以前からの世界平均気温の上昇を2℃以内に収める観点から温室効果ガス排出量の大幅削減の必要性を認識する」とされたことを指摘しました。
この「2℃以内」という目標達成のためには、世界全体の排出量を現状に比べて2050年までに半減程度、今世紀後半には世界全体の排出量をゼロか、マイナスにもっていかないといけないのだそうです。
江守さんは、気候変動関連リスクを全体像で捉えることの必要性を指摘します。気候変動の悪影響と好影響、気候変動対策の悪影響と好影響を、それぞれ精査することです。
また、その悪影響と好影響の出方は、国・地域・世代(現在・将来)・社会的属性(年齢・職種・所得等)によって異なるので、その中で対策の合意形成をしなければいけないことを指摘します。この点が、問題を複雑にしていることがよくわかります。
ISEPの松原弘直さんも参加
質疑応答では、「太陽黒点の影響は?」「温暖化ではなくむしろ氷河期に向かっているのでは?」という質問が出され、江守さんからは「太陽黒点の活動を計算に入れても、気温上昇の説明がつかない」「現在は間氷期であるが、次の氷期が来るのは3万年後」という回答がありました。
温暖化ガス削減の対策について、江守さんは、危機を煽って大きな声を上げる運動が「独善的になり、人びとが離れてしまう可能性がある」ことと指摘し、異なる考えを持つ人たちの間での対話の重要性を強調しました。
エネルギー・カフェ終了後、江守さんを囲んでの懇親会が開かれ、江守さんの人となりにも触れる楽しい対話が繰り広げられました。
スタッフの皆さん、参加者の皆さん、お疲れさまでした。江守正多先生、有意義なひと時を本当にありがとうございました。(森田)
最後は恒例の記念写真