この度上映会を行うドキュメンタリー映画『第4の革命 ―エネルギー・デモクラシー』について、いくつかの質問・疑問を受けましたので、私たちの思うところをお話しします。
当然のことですが、映画は「答え」ではありません。この映画が「絶対正しい」とは限りませんし、受け取り方は観客の自由です。ここでは、ある種の「とっつきづらさ」を取っ払ってもらうために、言葉を添えたいと思います。
映画の1シーン
Q.フライヤーを見ても、予告編を観ても、何を描いた映画なのかよくわからない。
A.描かれているのは、“希望”だと思います。
3月11日発生した東電福島第1原子力発電所の事故によって、私たちは未曽有の原子力災害を経験しました。一方、火力発電所に依拠したエネルギー生産は化石燃料を使い尽くし、二酸化炭素の排出によって地球温暖化を招きました。
私たちの生活を支えるエネルギーを生み出すことと、地球環境の存続は根本的に相容れないのでしょうか? この疑問にに対する答えの一つが「再生可能エネルギー」なのです。
化石燃料などの枯渇性資源に頼らず、環境に負荷を与えない再生可能エネルギーは、現に世界大で広がりつつあります。
それが「第4の革命」という希望の道なのだと思います。
電気がなかった村に太陽光パネルを設置する(マリ共和国)
Q.そもそも「第4の革命」とはどういう意味?
A.再生可能エネルギーによるエネルギー革命のことを指します。
環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長は、農業革命、産業革命、情報革命に次ぐ第4の革命なのだ、と指摘しています。
農業の発明によって、人類は比較的安定的に食料を得ることができるようになりました。蒸気機関を動力とする産業革命は、人口の爆発的増大を実現し、近代社会を支えました。情報革命は世界の結びつきをより一層強くし、グローバル社会を生み出しました。
それらに続くエネルギー革命によって、化石燃料に依存した大量消費社会から持続可能社会への転換が「第4の革命」なのです。
太陽光パネル製作の職業訓練(バングラデシュ)
Q.「エネルギー・デモクラシー」とは?
A.市民自らがエネルギーを創る、またはエネルギー政策を決めることです。
(大規模ダムによる)水力発電所、火力発電所、原子力発電所ともに大規模集中型の施設です。それに対して再生可能エネルギーは、原理がシンプルで、極めて小規模から運営できる自立・分散型の施設です。市民自らが、あるいはローカル・コミュニティがエネルギーを創ることができるのが、再生可能エネルギーなのです。
日本では、エネルギー政策は国と大電力会社が決めていました。その結果が福島の災害であり、「計画停電」です。民主主義の感覚とはほど遠いものではないでしょうか。
小規模分散型の再生可能エネルギーは、コミュニティごとに市民自らが計画し、諸々のことを決め、実行していくことになります。その過程で、議論し、意見調整を行い、自分たちの意思を決定することになります。
再生可能エネルギーをめぐる市民の関わり合いが、生きた民主主義になるのではないでしょうか。(森田)